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ICUチャペル・チャリティー 水永牧子チェンバロ・コンサート〜蘇る、秘蔵チェンバロの響き〜

ゲストに呼んでいただいた演奏会が無事終演しました。二階席も合わせると500席という広い会場がかなり埋まったような印象…本当に多くの方にいらしていただけました。主催、関係者のご尽力のおかげです。ご来場くださった皆さま、ありがとうございました。

2019年に初めてお会いして、それから1回(オンラインでは数回)お会いしただけだった水永牧子さんとの初共演。

しかしながら…身長や顔つきも共通点が多いせいか?いやいや、それ以上に同い年から来ると思われる意気投合ぶりで、何回かリハーサルを重ねるうちに一気に距離が縮んだ関係となり、それはやはり本番のアンサンブルの時に表れるんですよね。全面的に信頼し、思い切れる気持ち良さ。

実はここ最近の本番でもそういうことがありました。信頼できる共演者や空間(お客様含む)に対し、演奏中完全に心を開いて、委ねて、思い切ることができた、これらの成功体験は今後の私に力を与えてくれると思います。

それはきっと相手が誰でも良いわけではなく、今回は水永牧子さんという素晴らしい演奏家だったからであり、ご一緒できたことに心から感謝です。

今回は得難い経験がいくつもあり、当日のリハーサルから目から鱗の体験で…

この会場は響きすぎるほどよく響くので、それだけで満足しがちになりますが、チェンバロ調律に入ってくださっていた池末さんが素晴らしい方で、絶妙な気遣いとともにご提案くださった結果がビンゴすぎて驚き…

前半のグリーンスリーブスとダウランドはスピネットの伴奏で、私は座って歌いましたが、椅子に座って歌う時のその椅子が安定しているかで、声の響きの収まりが違う。一番低い位置から2目盛高かった座面を一番低くしたら、スピネットと同じ場所で声が鳴りはじめ、ブレンドしました。また、ただ響きすぎていた状態ではなくなり、言葉がクリアに届いているのが実感できたので、言葉を出すことに集中できるようになりました!

あのアドバイスがなかったら、もしかしたらスピネットの音の上空で声がふわふわ響く印象で終わってしまっていたと思います。しかも言い方や物腰が本当に嫌味なく出しゃばらず、、、何というお人かと。全ての本番会場にお呼びしてリハーサルでアドバイスをいただきたいと思ってしまったほどです。

プレトーク登壇者であり、今回の秘蔵チェンバロ修復の立役者、佐藤望先生もスピネットの譜面立て台紙?の素材を変えて、位置をずらしただけで音の聞こえがよくなることをアドバイスくださっていたなぁ。色々と勉強になりました。

今回は歌の生徒たちに聞いてもらえたことも良かったと思っています。レッスンで教えることと演奏で示せることは必ずしも両立はしないですが、示せるうちは生徒たちにもその機会を活かしてほしい、と。聴いた演奏で上手くいったことだけでなく、たとえ上手くいかなかったことがあったとしても学びが得られるはず。今回泣く泣く来られなかった生徒もいますが、出来るだけ私の本番に参加しようとしてくれる生徒たちです。レッスンでも恩返しできるよう頑張ります。

牧子さんと2人きりで写真を撮らなかったことに後で気付き…主催関係者、またクラシック音楽ファシリテーターの飯田有抄さんとの三つ子的ショット、生徒やお客様との写真を掲載します。

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Seika Kawaguchi

声楽家。山梨県甲府市出身。新潟大学教育学部、同大学院教育学研究科にて声楽を専攻した後、渡欧。オランダ王立音楽院のソロ声楽科で学び、国家演奏家資格を取得し卒業。フランス・ドイツ歌曲を中心に、バロック声楽曲、宗教曲、現代曲まで幅広いレパートリーを持ち、国内外で演奏活動を行っている。

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