1. HOME
  2. ブログ
  3. 日々のこと
  4. 黎明期のピアノと爛熟期のチェンバロの共演

黎明期のピアノと爛熟期のチェンバロの共演

見事な企画でした!

ポルトガルの未知のピアノ、Antunesフォルテピアノを久保田彰さんが製作され、そのお披露目となる演奏会。このピアノの音は、チェンバロとフォルテピアノの中間といってしまえばそれまでなのですが、以前同じ会場で聞いたクリストフォリともかなり違う、もっとまろやかな芯がある、初めて体験する音色でした。それをチェンバロと聞き比べをすると言う、何とも粋な内容。この二台鍵盤楽器の共演にオーボエが加わり、鍵盤楽器のための作品の旋律部分をオーボエが担当し、オーボエと通奏低音のためのソナタとして演奏されたのもファンタジー溢れる素晴らしい試み。

イタリアともスペインとも違う、ポルトガルの音楽。ポルトガルの響きと、チェンバロ、オーボエとの融合の巧みさ、楽しさ。

トークでは演奏者がなぜ復元楽器やオリジナル楽器を使うのか、久保田晃さんがなぜ復元楽器を作る生涯を選んだのか、気持ち良いほど明確に説明をしてくださいました。三宮さんの上手な説明と、久保田さんの言葉から溢れる想いが相まって、感動的でした。

1755年のリスボン大震災。その後の津波とで街の8割以上が倒壊。楽譜も楽器もほぼ完全に失われた時代がありました。その時代の音楽、楽器、演奏がどうであったかわずかに残る資料から探っていく。宮廷文化の衰退に伴い歴史から姿を消したチェンバロと、代わりに台頭したフォルテピアノ、それも現代ピアノへの発展により弾かれなくなる。

昔の曲を弾くのに現代の楽器では能力が高すぎる。古楽器が悲鳴をあげるようなMAXの使い方によって生み出される表現と、現代の楽器では出来ないタイプの繊細さが古楽器では表現できる。現代の楽器と比べたら想像を絶するメンテナンスの大変さ、コントロールの難しさも承知の上で、僕らは道具としてこの古楽器を選んでいます、と。

フォルテピアノ奏者の平井千絵さん…昨日の東京文化会館での本番の疲れも見せず、これぞフォルテピアノ、という強弱や音色の変化豊かに、平井さんらしい表現とキレキレの演奏を聴かせてくれました。

チェンバロ奏者の水永牧子さん…生演奏を初めてお聞きしました。何と典雅な音色。個性的なポルトガルのフォルテピアノに絶妙に溶け入りながら、決して埋もれない美しさ。ソロのファンタンゴ、カッコ良かった!

バロック・オーボエ奏者の三宮正満さん…息を使う楽器なので、鍵盤楽器とは違う聴き方をしてしまう私。とにかく上手い…司会も慣れていらっしゃると思われ、終始リラックス。そして演奏が始まると一気にその曲の世界に誘われます。アンコールで、楽器にマスクしたらソプラノサックスみたいな音色になり、曲にピッタリすぎてハマりました…そして3Dプリンタ製のバロックオーボエ。貴重なものを見せて、聞かせていただきました。

鍵盤楽器製作家の久保田彰さん…この方の偉業は古楽界だけでなく、もっと広く知られるべきなのでは…久保田さんから巣立った鍵盤楽器製作家もどれだけいるでしょうか。どなたか推薦したら紫綬褒章とかもらえると思う(いらないかもですが)。トーク、素晴らしかったです。正直に誠実に答えようとされて、その内容がまた胸を熱くさせられました。良い話でした。

フォルテピアノの調律にいらしていた太田垣至さん…久保田彰さんのお弟子さんであり、今や日本のフォルテピアノ界を背負って立つと言っても過言ではないほど多大な貢献を続け、私のフォルテピアノフェスティバルでもご尽力くださっている方、にもご挨拶できました。

今日改めて感じたことは、良い作品、良い楽器、良い奏者が全て揃わないといけないということ。

素晴らしい企画、演奏をありがとうございました。

見事な企画でした!

ポルトガルの未知のピアノ、Antunesフォルテピアノを久保田彰さんが製作され、そのお披露目となる演奏会。このピアノの音は、チェンバロとフォルテピアノの中間といってしまえばそれまでなのですが、以前同じ会場で聞いたクリストフォリともかなり違う、もっとまろやかな芯がある、初めて体験する音色でした。それをチェンバロと聞き比べをすると言う、何とも粋な内容。この二台鍵盤楽器の共演にオーボエが加わり、鍵盤楽器のための作品の旋律部分をオーボエが担当し、オーボエと通奏低音のためのソナタとして演奏されたのもファンタジー溢れる素晴らしい試み。

イタリアともスペインとも違う、ポルトガルの音楽。ポルトガルの響きと、チェンバロ、オーボエとの融合の巧みさ、楽しさ。

トークでは演奏者がなぜ復元楽器やオリジナル楽器を使うのか、久保田晃さんがなぜ復元楽器を作る生涯を選んだのか、気持ち良いほど明確に説明をしてくださいました。三宮さんの上手な説明と、久保田さんの言葉から溢れる想いが相まって、感動的でした。

1755年のリスボン大震災。その後の津波とで街の8割以上が倒壊。楽譜も楽器もほぼ完全に失われた時代がありました。その時代の音楽、楽器、演奏がどうであったかわずかに残る資料から探っていく。宮廷文化の衰退に伴い歴史から姿を消したチェンバロと、代わりに台頭したフォルテピアノ、それも現代ピアノへの発展により弾かれなくなる。

昔の曲を弾くのに現代の楽器では能力が高すぎる。古楽器が悲鳴をあげるようなMAXの使い方によって生み出される表現と、現代の楽器では出来ないタイプの繊細さが古楽器では表現できる。現代の楽器と比べたら想像を絶するメンテナンスの大変さ、コントロールの難しさも承知の上で、僕らは道具としてこの古楽器を選んでいます、と。

フォルテピアノ奏者の平井千絵さん…昨日の東京文化会館での本番の疲れも見せず、これぞフォルテピアノ、という強弱や音色の変化豊かに、平井さんらしい表現とキレキレの演奏を聴かせてくれました。

チェンバロ奏者の水永牧子さん…生演奏を初めてお聞きしました。何と典雅な音色。個性的なポルトガルのフォルテピアノに絶妙に溶け入りながら、決して埋もれない美しさ。ソロのファンタンゴ、カッコ良かった!

バロック・オーボエ奏者の三宮正満さん…息を使う楽器なので、鍵盤楽器とは違う聴き方をしてしまう私。とにかく上手い…司会も慣れていらっしゃると思われ、終始リラックス。そして演奏が始まると一気にその曲の世界に誘われます。アンコールで、楽器にマスクしたらソプラノサックスみたいな音色になり、曲にピッタリすぎてハマりました…そして3Dプリンタ製のバロックオーボエ。貴重なものを見せて、聞かせていただきました。

鍵盤楽器製作家の久保田彰さん…この方の偉業は古楽界だけでなく、もっと広く知られるべきなのでは…久保田さんから巣立った鍵盤楽器製作家もどれだけいるでしょうか。どなたか推薦したら紫綬褒章とかもらえると思う(いらないかもですが)。トーク、素晴らしかったです。正直に誠実に答えようとされて、その内容がまた胸を熱くさせられました。良い話でした。

フォルテピアノの調律にいらしていた太田垣至さん…久保田彰さんのお弟子さんであり、今や日本のフォルテピアノ界を背負って立つと言っても過言ではないほど多大な貢献を続け、私のフォルテピアノフェスティバルでもご尽力くださっている方、にもご挨拶できました。

今日改めて感じたことは、良い作品、良い楽器、良い奏者が全て揃わないといけないということ。

素晴らしい企画、演奏をありがとうございました。

【余談】鍵盤奏者の手の動きが見えない場所に座ったので、時々どちらの楽器の音か分からなくなりました。あのハープみたいな音色に心を奪われたのですがどちらの楽器だったんでしょうか?夫に「あの、ハープみたいな音色、どっちの楽器だったの?」と聞いたら「ハープみたいな音色が、どの音を言ってるか分からないから答えようがない」と言われ…笑

黎明期のピアノと爛熟期のチェンバロの共演

記事一覧

Seika Kawaguchi

声楽家。山梨県甲府市出身。新潟大学教育学部、同大学院教育学研究科にて声楽を専攻した後、渡欧。オランダ王立音楽院のソロ声楽科で学び、国家演奏家資格を取得し卒業。フランス・ドイツ歌曲を中心に、バロック声楽曲、宗教曲、現代曲まで幅広いレパートリーを持ち、国内外で演奏活動を行っている。

関連記事